物覚えもっと雑記帳

思考整理の為の超個人的な場所 ほぼ絵の話 一部noteにも転載

技量がモノを言うジャンルでも人気の獲得は別の要素に左右されるのかもって話

今回はちょっと、いや見る人からしたらかなり意地悪に思えるかもしれない話をする。最初にごめんなさいをしておく。

 

Twitterで凄くリアルな写真模写絵がバズっているのを見かけたことがある人は多いだろう。絵画というジャンル(市場という方が正しいかもしれない)にあまり触れたことが無い人は稀有だと思うかもしれないが、実際のところスーパー(ハイパー)リアル絵を描く画家は国内外沢山いる。私が好きなのはもっぱら人物画の方で、風景・静物の方は特定の画家はほぼ認識していない程度しか見ていないが、それでも高いレベルのものはいくらか見てきた。

 

Twitterでバズったデジタル写真模写絵を描く人が、凄い凄いと持て囃され、個展が開かれ、ついには商業個人画集も販売されているのをみて複雑な気持ちになってしまった。

何故かというと…。

自分では描けないくせにこう言ってしまうのは僻みととらえられても仕方ないと思うし、自分でも相当生意気だと思うので恐縮しつつも…、正直パッと見でおかしいところや細部の立体感が捉えられていないところが分かるくらいの絵だからだ。写真の再現より絵らしさを残したいと言っていたそうだが、あえてコントラストや立体感の細部を崩したり簡略しているタイプではなく、単純に拾えていないだけのように感じてしまった。有名美大出なのを知り驚いたのだが、それもその辺りの美大生なら皆もっと描けるものという思い込みがあったから。描けるけど写真模写系は軽視されたり市場が狭かったりでやらない・やめる人も多いと聞いたことがあったので。(実際高校生時代から同じくらい描けてる子もいる…。)

 

兎に角、自分自身の画力や見る力はそう高くないにしても同じリアル絵というジャンルの中のハイレベルは知っているので、もっと上手い人々が沢山いる中で明らかにそれよりちょっと技術が足りない人がああも人気を博しているのはなんだかなあ…と勝手に思わずにはいられなかったのだ。一応断っておくがこれはあくまで技術が大きな評価点になっているジャンルだからであって、絵というもの全般においてより上手い方が評価されるべきものと思っているわけでは決してない。

 

こういった大衆の中のバズり絵と、リアリズム、スーパーリアル系の画家とは「市場」が違う。(もっとも人物画だとホキに収集されているような有名画家もよくバズってるけど。)多くは原画が画廊を通して高価で売買され、展示会はあっても大抵はそういうものが好きな人の目にしか触れなかったりする。だから大衆にとって珍しいものがたまたま目立って運良く人気を博したものと捉えていたし、レベルの高いものが同じ場所に出揃っていたらこうはいかなかったろうとも思っていた(意地悪だね…)。

 

だが、よく考えたらどうだろう。もしかしたらそれらの絵も絵画の市場に出されていたとして、同じほどではないにしろ人気を博した可能性もあるのではないか。また逆にTwitterに画像を上げても全然広まらなかったけど絵画市場では大人気で抽選販売で2~3桁万円の価格で売れたというような絵は、たまたまバズりに乗れなかったのではなく大衆の心はそれほど掴めない系統だった可能性もあるのではないか…。

 

バズっているようなデジタルリアル絵は、描き方を公開していて興味を引かれやすいとか、それ故自分でも挑戦したくなるとか、むしろちょっと絵と見分けがつく程度の方が好感が持たれるなんて理由もあると思う。しかしそれよりも、平均的な大衆(専門家や画廊に足を運ぶような目利きではない人々)からはもっと上手い人との見分けが付かないかそうでなくても十分なレベルなので、あとはもう描いている対象などで人気が左右されているという方が実態に近いのかもしれない。一見技術が大きな評価点になっているジャンルのようで、実際のところは他の絵画作品と同じで内容が何より大事ということか。

 

そんな風に納得しつつもやっぱり、自分が好きな画家の作品こそ大バズりしてくれよ~~~~画家歴結構長いのに画集も出てないし~~~~同じように画集と技術本出してくれえ~~~~~!と心の中で駄々をこねてしまうのだった。