物覚えもっと雑記帳

思考整理の為の超個人的な場所 ほぼ絵の話 一部noteにも転載

趣味じゃない絵を学ぶのは後回しでいい

自分の嗜好から外れた系統の絵でも、ハイクオリティならそこから学ぶべきことは沢山あると思うけど、それでもやっぱり基本的には自分好みのものを優先にした方が良いよな、という話。

 

作画クオリティの高いアニメは沢山ある。でも私はアニメというものに今までほぼ興味を持っていなかった。子供の頃と、配信で手軽に見られるようになった近年を除いてあまり見てこなかったし、最近も基本的には絵や動きや演出がどうかという視点では視聴していない(単純にお話を楽しんでる)。

 

私のXアカでは何故か、おすすめタブにアニメの上手い原画やワンシーン、現役アニメーター・アニメーター志望の絵(仕事作や習作)が日々大量に流れてくる。遂には9割くらいそれになってしまったので、数日前から仕方なくユーザー単位でミュートしはじめたくらい…。そんな風に今までになく大量に目に入るようになって、次第にそれらにも絵として意識が向くようになってきた。

 

知ってはいたけどあらためて思うのが、作画の良いアニメは、人体や衣類など構造上の正確性も高いということ。バランスが狂ってないとか、立体として構造上の破綻が無いとか…。そういう正確性の点においては、漫画絵を含むキャラ絵を描く人という枠の中では、平均的なアニメーター(原画マン)はかなり高い水準にあるんじゃないか?未だに顔絵が崩れる、体のバランスが取れない、立体として破綻してしまう、自然なポーズが取れない…と悩んでいる私なんかは、そこにも届かないレベルなのかもとさえ思えてきたところ。

 

そのために、今後はアニメ作品やその種の人々の絵から沢山学ばなきゃ…という気持ちが最近強くなっていた。

 

しかし…。

 

デフォルメされたキャラクターの絵(漫画・アニメ系)において、同じリアル寄りの作画であっても、アニメ向きの動かすのが前提の簡略化された絵と、イラスト漫画向きの描き込みが多い絵がある。で、私は断然後者が好きだ。基本的には正確度の高い絵が好きなのだけど、それ以外にも、線の強弱やハッチングなどのタッチ付け、カラーのアニメ塗りではない陰影や質感表現などに心惹かれる。同程度の正確度なら、後者の方が断然好き。

 

そういえば過去には絵の上手さを見て勉強になると思い、有名アニメーターの画集を買ったけど、結局好きという気持ちがあまり湧かなくて、割と短期間で手放してしまったこともある。

 

上手いアニメーターの作品は原画1枚でも絵としてハイクオリティなのに、それを更に動かせるのは本当に凄いと思う。でも、上手さ・技術の凄さに感嘆するのと、それに心が惹かれるかどうかは別だよね…。最近はそれをちょっと忘れ気味だった。

 

去年の11月の記事「もっと他者の絵の描き方から学びたい」に書いた「自分の漫画絵の拙さの要因の一つは、三次元→二次元の落とし込みが上手くいっていないせいであり、アニメ絵が勉強になるんじゃないか?」というのは、今でも確かだと思う。顔絵については特に。でも、だからといって全体的にそれらをお手本にしていった方が良いか?と考えると違うなと…。

 

少し前にアニメの模写をしようと思い、好みからかなりリアル寄りの作画のものを選んでやってみた。が、これなら実写の模写をした方が勉強になるのでは?と思って、2枚で終了した…。アニメの模写をしたいと思ったのは、二次元的なデフォルメの方法を学びたいからだったのに、目的を見失ってただ優れているという理由だけで、適当にチョイスしていた。

 

勿論アニメ作画から学べることはとても多い。でも、別の表現媒体からより好みの方向性のものを学べることも多い。何をどれから学ぶかはもう少し整理しておいた方が良さそう。たとえば顔以外の体や服の描き表し方は今まで通り好みの絵から学んだ方が良いし、動きのある絵ならアニメが勉強になるだろう。

今後は忘れないようにしよう。

 

---

追記。

アニメ絵に関して「無駄のない線」みたいに表現されることがある。これはそれを言う本人の中に、少ない線で描き表す方が素晴らしい、という認識があるんだなと。私が線画がシンプルだと物足りなさを感じるように、もしかしたら私が良いと思うような描きこみたっぷり系は、そういう人から見たら無駄な線が多いと感じるのかもしれないと気づいて、面白いなと思った。