物覚えもっと雑記帳

思考整理の為の超個人的な場所 ほぼ絵の話 一部noteにも転載

イラストを描くAIについて思うこと散文

※別ブログから移動してきた記事です。

少し前にAIが遂にアニメ漫画系のイラストも出力出来るようになったと話題になりましたね。それに関して考えを整理したかったのもあって、自分が思ったことをざっと散文的に記しておくことにしました。想像するまでもなく何万人レベルで同じことを考えている人がいるはずですが、それでも多少は割れる意見もあるかと思うので…。

 

まず、とりあえず関連する記事もメモがてら貼っておきます。

「とんでもなくハイクオリティー」 話題の画像AI「Novel AI」でひたすら二次元美少女と美少年を生成してみた(1/3 ページ) - ITmedia NEWS

「AIイラストメーカーになんて負けない!」キリッ! - orangestarの雑記 (hatenadiary.jp)

あとは思ったことをちょこちょこと。

 

 

プロの絵描きさんが一番不安がっているようなのが「イラストレーターは淘汰されるか」ですよね。既にちょっとした手直しで使い物になるレベルだと思いますし、細部まで再現出来るようになるまでそうかからない気がします。商業的な仕事のシェアを食うのは多分間違いないかなと。ネームバリューがある人は暫くは大丈夫そうなものの、AI作のイラストが氾濫するようになった後は、その「ネームバリューのある絵描き」もかなり生まれにくくなる気も…。

 

単純に考えれば、かつて手工芸品が機械化で大量生産品に成り代わったのと同じような道に進むのが自然かと思うのですが、どうでしょうか。大衆の身の回りに溢れる消耗品的な娯楽物はAIの手を借りたものに置き換わりつつ、アーツ・アンド・クラフツ運動が起きたように一部はアート方面寄りになって生き長らえるような…。ただそれも甘すぎるというか、技術進歩の速度に考えが及んでいない気もします。

 

工芸品以外によく例に出されるのが、写真の登場で写実的な絵が淘汰されたように…というもの。上に紹介した記事の後者でも「写実画の価値は下がった」と書かれていました。確かに写真登場以前の、ただの写真のような用途の絵や技術がそれほど高くない絵描きは大量に淘汰されたでしょう。

しかし写実絵画って実は今現在は結構価値がついてるんですよ、逆に。アート業界全体で見れば高額な部類のジャンルではないですが(一千万~億以上の値が付く現代アートもゴロゴロあるので…)、日本のアート界だけでも個展を開けば即完売、1枚数百万以上の作品の抽選購入に何件も申し込みがくるような写実画家さんも結構いらっしゃる。勿論それなりの価値が付くのは、基本的には技術が超高いごく一握りだけですが…。

買われる理由の一つは「機械で高度に出来ることをあえて人間が手間暇かけて作りあげた、人間が出来得る技術の粋を集めたもの」という点でしょう。イラストでもそういう点に価値を見出す人もいるのでは?と思いました。ただ、絵画の場合はそれでも写真とそっくり同じではないのに対し、AIイラストは本当に区別がつかないレベル(になりうる)という大きな違いがあるので、これも怪しいところかもしれません。

 

少し話が変わりますが、AIはただの切り貼りでなく特徴をとらえて新たに生成するもので(これ本当?)、AIの学習元は無断で集めたデータベースや転載サイトのイラストからであり、こんなのは法的に危険だし問題だという件。

これで思い出したのが、某有名イラストレーターが提言する「一人のイラストレーターの描き方を徹底的に真似る」というイラストの上達方法。どれだけ真似ても個性は消せないから大丈夫ということらしいですが、特定出来るほど個人の作風を模した絵を練習でなく作品として世に出すとしたら…。AIが「作者に無断で集めたイラストで学び、参照元の絵描きが分かるレベルで模倣する」のが駄目なら、人力のも同じでは?と…。

実際、「絵柄パク」みたいな騒動も珍しくありませんし、元の絵描きさんやファンの心証は悪くなりがちなのも確か。AI以前に人力で行われているよなあ、精度の問題だとしたらどこで線引きすれば良いのかなあ、と考えてしまいました。まあ法的には同一性とか類似性とか、最終的には裁判によって決着付けるしかないものなのでしょうけど、危険さを強く煽る反応にはこういった点で少し疑問を持っています。